日垣隆著の「すぐに稼げる文章術」について、概要をご説明します。また、どんな方にお勧めできるかポイントを3点に絞って紹介します。
本の概要
概要
文書力を磨くことは、最もローリスクでハイリターンな自己投資だ。本書では毎月の締切50本のほか、有料メルマガ、ネット通販と、「書いて稼ぐ」を極めた著者が、そのノウハウを全公開。トラブルを招かないメール文、上司を説得する企画書、インパクトのあるエッセイ、読者を中毒にするブログetc.努力不要の文章講座(裏表紙より引用)
書いて食べている人間(作家)の文章術と、教えて食べている(教職)人間の文章術は異ります。本書は前者の「食うための作文術」を、基礎的な点から専門的な点まで網羅しています。作家業の裏話やノウハウについて多くページを割いている点が、「国語」を教える作文術の本と大きく異なります。
目次
1章 「どう書くか」より「どう読まれるか」
2章 【初級編】こんな悪文を反面教師に
3章 【中級編】実務文はこう書けば生まれ変わる
4章 【上級編】ネットで生き残る知恵
5章 発想の訓練法
6章 こうすれば稼げるQ&A
7章 文章で稼ぐための必読33冊
スペック
サイズ:新書
ページ数:212
発行:2006年11月30日
著者:日垣隆
発行:幻冬舎
こんな方にお勧め
作家・ライターとして生きたい方
本書の著者、日垣隆氏は作家・ジャーナリストであり、「書いて食べる」仕事をしている方です。
著者は会社勤めを辞めフリーライターに転身した当初、生活が厳しかったと述べています。サラリーマンからフリーランスに転身し、家族を養うためにどのように稼いできたか。プロのライターとして働く営業法やノウハウが記されています。
書き手に必要な「取材」のテクニックや、自身の作品で「炎上」しない方法など、具体的な方法が記されており、これから書いて食べる仕事を志す方の教科書になるような1冊です。
特に第6章はフリーランスとして働くためのノウハウがQ&A形式で記されています。普通に生活していては、なかなか見えない作家業の考え方や裏話は専業作家を志す方以外も興味を持てる内容です。
作家業以外で副業をやりたい方も、フリーランスの働き方について知る良い機会だと思います。
作文の基本的な心構えを知りたい方
本書はプロの作家希望向けの内容だけかというと、そうではありません。
基本的な国語の作文術について、多くの説明がなされているとは言えません。しかし、物書きが持つべき「読者を楽しませる工夫」について、数多くのヒントを多く与えてくれます。
文章のリズムの取り方、読者を飽きさせない工夫など、「自己満足の文章で終わらない技術」が紹介されています。国語の作文を基礎を抑えた次に学びたい、人に読んでもらうための文章術が学べます。
また、プロとして求められる執筆スピードを上げる方法など、実用的な解説も多い点がポイントです。
第1章に『「です」「ます」調は大リーグ要請ギプス(p37)』といったインパクトのあるフレーズがあります。一見すると意味不明ですが、「です、ます調」と「である調」の使い分けについての解説で、読んでみると納得の内容でした。
悪文とは何か、チェックしたい方
第2章、第3章では実際の書評やブログ、社説などに対し、辛辣にダメ出しをしていきます。
ダメ出し対象への添削は非常に細かいです。悪い点の説明と、どうすればマシな文章になるか改善点をレクチャーしていきます。使いがちな誤用や、それを回避する策も紹介されています。
本著でのダメ出しは自身の文章をチェックする目線を育てるには役に立つと思います。しかし、著者のキャラ付けの為なのか、原文をバカにした表現が多く、不快感を覚える人もいるのではないかと感じました。人をイジってばかりのお笑いが嫌い人は合わないかもしれません。
おわりに
本書の特徴は、作家業の仕事内容を通して文書術を学べる点です。フリーランスでの働き方にスポットライトをあてている点が、他の文書術の書籍と異なります。
他の文書術の書籍には無い特徴を持った、「尖った」一冊ですが、悪い意味で少々読む人を選ぶ本かもしれないと思う節もあります。
著者は「フリーで食っていくために大切なことは何か」との質問に対し、3っの回答を挙げました。そのうちの1つは、
「文章の中に中毒性をもたせることです。(中略)文章の中に覚醒剤のようなものを入れておくことが大切」(p160)と述べており、
最近話題になった、某牛丼屋のシャブ漬け問題を思い起こす方もいるのではないでしょうか。著者の伝えたい内容は理解できますが、読んでいて不快に思うフレーズが度々出てくるので、読む人を選ぶ本だと感じました。
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